ルイスと不思議の時計
2018.10.17 感想を追記しました。
公開2018年10月12日|上映時間105分
ポンコツ魔法使いでも、きっと世界は救える!?
ホラーやスリラーのイメージが強いイーライ・ロス監督によるコミカルなファンタジー映画です!コメディで大活躍のジャック・ブラックや、ケイト・ブランシェットが魔法使い役として出演します。そして、主人公の少年ルイスの吹き替えを「名探偵コナン」で有名な高橋みなみが担当!
ここでは、そんなワクワクしそうな『ルイスと不思議の時計』について紹介していきます。
作品情報
『ルイスと不思議の時計』あらすじストーリー
1955年、ミシガン州のニューゼベディ。
両親を車の事故で亡くした10歳のルイス・バーナヴェルトは、伯父のジョナサンに引き取られる。若い頃に家出したジョナサンは、ルイスの両親の葬式にも参列しておらず、ルイスも会うのが初めてだった。住宅地のいちばん奥にあるジョナサンの古い屋敷の中には、いたる所に時計が置かれ、不思議な雰囲気が漂っている。じつはジョナサンは魔法使いで、隣に住むフローレンス・ツィマーマン夫人も、かつて強力な魔法を操る魔女だった。
ただしジョナサンの腕前は二流で、ツィマーマンは超一流。彼らは何かと相手の悪口を言い合うのだが、実際には仲が良さそうで、喜んでルイスを迎えてくれる。
屋敷での最初の夜、ルイスは自室の外を誰かがうろついていることに気づく。ジョナサンが廊下を歩き回っているのだ。翌朝、壁のステンドグラスの絵柄が変わっているなど、ルイスは屋敷に何か秘密があることを察するのだった。新しい学校に通うことになったルイスだが、スポーツが苦手でなかなか友人ができない。そんな彼にただ一人、声をかけてくれたのは、スポーツ万能でハンサムの人気者、タービーだった。
どうやらジョナサンは、屋敷のどこかに隠された魔法の時計を探しているらしい。その場所は壁の中らしく、ジョナサンは壁を叩き壊したりもしている。不安を募らせるルイスの前に現れたのは、亡き母の幻で、彼は母から「本と鍵を探しなさい」と告げられた。
勇気をもって屋敷内を探索するルイスだが、なんと壁の絵や椅子、オルガンなどが勝手に動き出し、びっくり仰天!混乱するルイスを落ちつかせるため、ジョナサンは自分が魔法使いで、魔法の時計を隠したのは、亡き親友の魔法使いで、この屋敷の元持ち主、アイザック・イザードであると伝える。アイザックは闇の魔法を使って時計を作ったらしい。そして中秋の名月の夜、ジョナサンとツィマーマン夫人はルイスに魔術を見せ、呪文のテクニックを教えるのだった。
呪文を学んだルイスは、学校でも簡単な魔法を使うようになったが、友人だと思っていたタービーが選挙で学年代表の生徒になり、骨折も回復したことで、冷たくあしらわれてしまう。タービーの気を引きたいルイスは、伯父のジョナサンが魔術師であると教え、屋敷に誘う。ジョナサンから「開けてはダメ」と言われていた棚をタービーに強要されて開けるルイス。そこに入っていたのは「降霊術」の本だった。
本を読んだルイスが、死者を生き返らせる呪文を唱えたところ、あろうことかアイザックが甦ってしまった!このままではアイザックが魔法の時計の鍵を手に入れ、動かしてしまう。時計が動き出せば時間が逆戻りして、この世界すべてが過去となり、失われてしまうというのだ。甦ったアイザックに、ルイスとジョナサンはどう対抗するのか?思いもよらぬ魔法バトルの火ぶたが切って落とされたーー!
監督:イーライ・ロス
これまで『ホステル』『グリーンインフェルノ』『ノック・ノック』といったホラーやスリラーのジャンルを多く手掛けてきたイーライ・ロス監督が、まさかのファンタジー映画でがらりと作風を変えてきました!
今までグロテスクなシーンも多かっただけに、大人も子供も楽しめるファンタジー、というのが意外ですね。
『イングロリアス・バスターズ』などに出演したりと、俳優業もこなしています。
公開予定の監督作品『デス・ウィッシュ』はアクション映画ですし、どんどん活躍の場を広げている様子です。器用だなぁ!
脚本:エリック・クリプキ
なんと、まさかのエリック・クリプキ。この人、大人気TVドラマ『スーパーナチュラル』シリーズのクリエイターで、シーズン1~シーズン5までの脚本、製作総指揮などを務めていたんですよ。
シーズン5までって、一番面白かったですからね。私はシーズン9あたりまで観てて、今はちょっと飽きて休憩してますw
個人的に気になる脚本家なので、これは期待が高まります!
原作「壁のなかの時計」
ジョン・ベレアーズの小説「壁のなかの時計」が原作となります。日本では映画の公開に合わせてタイトルを「ルイスと不思議の時計」に改めて出版されたようです。
主要キャスト
オーウェン・ヴァカーロ
『パパ vs 新しいパパ』『マザーズ・デイ』の子役として出演してきましたが、映画で主演級の役どころは今回が初のようですね。まぁ、あれですよ。正直この子は知らなかったですよ。可愛らしいルックスでどんな演技を見せてくれるか期待です!
今回は、両親を亡くした10歳の少年ルイスの役で、ポンコツ魔法使いの伯父に引き取られます。日本語吹き替えは『名探偵コナン』でおなじみの高橋みなみです!謎解きするのか!?w
ジャック・ブラック
『スクール・オブ・ロック』『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』などコメディ映画を中心に活躍してます。めっちゃ好き!
今回は、ルイスの伯父にあたるポンコツ魔法使いのジョナサンを演じます。お調子者で憎めないキャラクターですね。日本語吹き替えは佐藤二朗が担当。
ケイト・ブランシェット
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『ブルージャスミン』『オーシャンズ8』などに出演し、2度のオスカーに輝いた実力派。シリアスもエンターテイメントもこなせる素晴らしい女優です!いくつになっても美しいなぁ。
今回は、ジョナサンの隣に住む口の悪い魔女ツィマーマンを演じます。日本語吹き替えは宮沢りえが担当。
他キャスト
レネー・エリス・ゴールズベリー/サニー・スリッチ/コリーン・キャンプ/ロレンツァ・イッツォ/ヴァネッサ・アン・ウィリアムズ/カイル・マクラクラン
感想(ネタバレあり)
ここからは鑑賞後の感想になります。観に行ったときは時間帯の問題もあってか、ほぼ貸し切り状態…。嬉しいような寂しいような。でっかいスクリーンを贅沢に堪能してきましたよ〜。
ホラーのイメージが強いイーライ・ロス監督と、TVドラマ『スーパーナチュラル』の脚本エリック・クリプキが組んでコメディファンタジーとは何ぞ!?と思いましたが、やっぱりホラー要素を入れてきましたね!
子供でも楽しめる程度なので怖いのが苦手だからと敬遠するレベルじゃないですけど。ちょっとビクゥッとさせられたり、ちょっと気味が悪いな…というシーンがちらほら。アイザックの妻が変身するところの動きとかめっちゃホラー感あるやん…w
だけど、そんなホラー描写をコミカルにリアクションすることによって緩和してくれています。不気味な人形たちに囲まれるシーンではジョナサンのセリフが和ませてくれますし、ところどころでルイスのドン引きしたような表情がなんとも可笑しいです。
その少年ルイスを演じるオーウェン・ヴァカーロなんですけど、ばっちり良かったですね。「ヘンな子」をうまく演じていましたし、じわじわではなく急に両親への感傷で泣き出したりする姿にキュンとしましたよ。
ジャック・ブラックのコミカルな演技はもはやド安定に面白いわけですが、本作ではツィマーマン夫人を演じるケイト・ブランシェットとの掛け合いが絶妙に良かったです!ずっとお互いに罵り合っているんですけど、気分を害するような貶し方じゃなくて、「ケンカするほど仲が良い」をそのまま表現したみたいな感じで微笑ましかったです。このへんが、やはり子供向けに配慮されてるなぁと思いました。
ストーリーは壮大なようでコンパクトにまとまっていますね。というのも、悪い魔術師のアイザックが企んでいるのはざっくり言うと「時間を巻き戻して人類滅亡させる」という内容でヤベェです。が、しかし登場人物たちの行動範囲がほぼ自宅だけなんですよねw ルイスは学校や墓地にちょっと行ったりしますけど。
両親を亡くした子が魔法使いに引き取られ、成長しながら悪い魔術師の企みを阻止する!という設定や物語の始まり方まるで『ハリー・ポッター』を連想させますが、あそこまで複雑な作りじゃなく極力シンプルになっていて気楽に観ていられます。時期的にハロウィンも意識していて良いですね〜。
ひとつ何気に伏線というか、考えると少し怖いな、と思うことがありまして。向かいの家のおばちゃんはアイザックの妻が変身していたわけですが、おばちゃんはアイザックに殺されて骨を鍵にされ、妻に「乗っ取られた」んですよね。おまじないの効力により彼らは自力で家の中に入ることはできず、「中から迎え入れられる」必要があります。
そのためにアイザックの妻は、皆既月食の日までに何としてもアイザックを復活させ、家の中に入りたかった。そこでルイスを利用したわけですが……果たしてルイスの両親が死んだのは、本当にただの事故だったのか?
だって、ルイスが家に来なければ絶対に皆既月食には間に合いませんでした。無垢な子供を利用するために、両親を事故に見せかけて殺し、伯父であるジョナサンが引き取るように仕組み、母親を「乗っ取って」夢に出てきた。そう考えるのが最も合理的なんですよね…。
やっぱイーライ・ロス怖ぇぇえええ!
まとめ
おすすめ度:☆☆☆☆(4/5)
壮大なアドベンチャー・ファンタジーというよりは、コメディタッチで気軽に観られる家族向けの映画という感じですね。
ジャック・ブラックのとぼけた演技やケイト・ブランシェットの名演技、そして子役オーウェン・ヴァカーロの活躍が見られます。ホラー系を得意としてきたイーライ・ロス監督によるワクワクなファンタジーというのが意外でしたが、ほっこりとした笑いにちょっぴりスパイスが加わっていて面白かったです!
タービーめっちゃムカつく!w