映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』感想・評価レビュー

東野圭吾さんの作品が映画化されるのは何本目なんでしょうねー。ピンからキリまで多すぎて、最早このネームバリューで観客を動員するのは難しいところ。とはいえ予告を見る限りこれは感涙必至だろう!ってことで観てきました。ちなみに原作未読です。

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監督:廣木隆一
出演:山田涼介/西田敏行/尾野真千子/村上虹郎/寛一郎/成海璃子/門脇麦/林遣都/鈴木梨央/山下リオ/手塚とおる/PANTA/萩原聖人/小林薫/吉行和子

予告動画

 


映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』予告編

感想(以下ネタバレ含む)

時を越え、いくつもの人生が交錯してひとつの大きな物語を生む!張り巡らされた伏線と想いの連鎖に震える!!

俳優ピックアップ

ナミヤ雑貨店の店主である浪矢を演じた西田敏行さん。誰からも慕われる気の良いおじちゃん役としては右に出る者いませんね。彼の笑みでこちらまで穏やかな気持ちになりましたし、病室で息子に訴えかける様子は迫真的でぐっときました。

三人組のリーダー的存在の矢口を演じる山田涼介さん。最近メキメキと頭角を現してきましたね。芝居は決して安くないですが、まだまだ粗削り。予告の激情を見せるシーンでは「うまいなぁ」と思いましたが、実際に本編を観ると「大袈裟だなぁ」と感じました。作品から浮いてますね。アドリブらしいですが、監督はなぜOKを出したのか……。

三人組の一人、小林を演じる村上虹郎さん。私が今かなり期待している若手です。ところどころで光る演技を見せてくれましたが、逆にいくつか台詞回しが不自然すぎるシーンも。うーん、次作に期待!

魚屋ミュージシャンこと松岡を演じる林遣都さん。芝居に関しては文句なしに素晴らしかったです。彼は天才じゃなくて秀才型なんだろうな、と思います。昔より断然、質は上がり幅も広がった演技を見せてくれますね。ただ今作では歌(とハーモニカ)が……芽が出ないミュージシャン役だから、わざと耳障りにしたのかな?(笑)

セリ役は子供時代に鈴木梨央さん、大人時代に門脇麦さん。この二人が、ずば抜けて良かった。鈴木梨央さんは近年での子役No. 1だと思います。大人顔負けとは、こういうことを言うんですよ!おなじく天才肌の門脇麦さんもすごい。しかも歌めちゃくちゃ良かったです。歌手になってもいいレベルの耳心地でした。この二人の泣きの演技は必見です。

全員ピュアすぎ問題

この作品の違和感は、すべてこの問題に集約されているでしょう。ありとあらゆる摩訶不思議な事象を光の速さで受け入れる登場人物たち。

一旦ナミヤ雑貨店から逃げ出した三人組は神隠しのような出来事に遭い(そもそもなんで雑貨店の外まで奇蹟が起きてしまっているのか)、素直に店内へ戻ります。普通に考えたらホラーすぎてガタガタ震えますよね。そして過去から届いたらしき手紙を疑うのも一瞬で終わり、すごく真摯にやり取りするではありませんか。激昂したリーダーの矢口が「俺が返事を書く」と言ったときは、どんな痛烈な内容になるかと思いきや、すごく丁寧な文体。

しかも三人組が書いた手紙の返事は明らかに浪矢っぽくない違和感の塊なのに、受け取った人たちは信じ、ムキになって返事を書き続けたり、言われた通りに行動したりします。

浪矢本人が奇蹟を受け入れるのは、人柄としてまだ理解できるんですけどねぇ。誰も彼もがサンタクロースを信じる子ども並にピュアなのはちょっと……。

浪矢の息子「ずっと見てたけど、誰も店には近付いてなかったよ(ニコッ)」→浪矢「そりゃそうだ。これは全部、未来から届いた手紙なんだ(ニコッ)」のやり取りとか思わず苦笑しましたよ。

チートで大儲け

迷える子犬・田村の物語はとてもテンポが悪く退屈でした。手紙でのやり取りにも関わらず、まるでチャットのような会話の応酬。頭が良いとはいえ、バブル期の投資に詳しすぎるチンピラ矢口。田村はその指示通りに行動して大儲けし、バリバリの女社長に成り上がるチートっぷり。ちゃんと努力をしたとはいえ、『人を信じることの大切さ』とはちょっとズレている気がして、冷めた目で見てしまいました。タイムパラドックスも「何かが俺たちを誘導してる」で済ませちゃってますし。神は丸光園とナミヤ雑貨店に関わる人々だけ優遇しすぎでしょ。

あと、尾野真千子さんの19歳はさすがにきついですよ!

浪矢は不幸を生んでないのか

作中では、なんだかんだ浪矢が相談に乗った人々は正しい選択をし、最終的にはハッピーエンドを迎えています。グリーンリバーの事故の件は不幸ですが、娘は結果的に正しく生き、浪矢に感謝していますね。

だけど見えない部分では、やはり浪矢が口にしていたように「とんでもなく不幸になった人がいるのかもしれない」んですよね。それを浪矢本人に言わせることは重要だなと思いました。グリーンリバーの娘からの手紙で救われたとはいえ、「不幸の可能性」は無くならないわけですから。

人のために何かをする。人を信じて行動する。それは難しいけど大切な事だという、深みのある話にまとまっています。

評価(レビュー)

総合満足度:☆☆☆  (3/10)
わくわく度:☆☆  (2/5)
キュンキュン度:☆  (1/5)
かなしみ度:☆☆  (2/5)
カンゲキ度:☆☆  (2/5)
びくびく度:☆  (1/5)
スッキリ度:☆☆☆  (3/5)

 

予告で感動しそうだと思いましたが、涙は出ず。というか、誰一人にも感情移入できませんでした。浪矢の人柄と、魚屋とセリの話は良かったですが、全体にテンポが悪くて物語に入り込めず感動はなかったです。

たくさん配置された伏線がどんどん回収され複数の物語が収束していくのですが、これといった驚きもなく。一人だけ悪い奴がでてきますが、ぱっとしない。浪矢の昔の恋人である暁子(成海璃子さん)も観客を困惑させるだけで不要じゃないでしょうか。あまり親切な設計とは言えませんでしたね。

酷評になってしまいましたが、原作を読んだ人やピュアな人が観ると面白いのかもしれません。東野圭吾さんの作風って基本どストレートですしね。

と、ひねくれた私の感想でございました。おわります!