映画『ハクソー・リッジ』感想・評価

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監督:メル・ギブソン
出演 :アンドリュー・ガーフィールド/サム・ワーシントン/ヴィンス・ヴォーン/ルーク・ブレイシー/テリーサ・パーマー/ヒューゴ・ウィーヴィング

 

あらすじ

第二次世界大戦中、デズモンド・ドスは軍に志願した。しかし過酷な訓練の最中、上官たちの命令に反して銃を持つことを頑なに拒否する。子供時代の経験から、人を殺めることを禁じる宗教の教えを固く信じていたのだ。さらには毎週土曜の安息日を主張したこともあって、上官や同僚は彼につらく当たり、遂には軍法会議にかけられてしまうーー。

感想(ネタバレ含む)

揺るぎない信仰心とどこまでも貫徹する信念に脱帽!!戦場でも決して武器を手にしない衛生兵の軌跡を描いた真実の物語。

良かった点

戦争映画ではあるんですが、反戦映画とは違う印象を受けました。実在した一人の男に焦点をしぼり、その素晴らしい生き様を見せてくれる貴重な作品です。

戦争の舞台は沖縄の前田高地(ハクソーリッジ)であり、日本人にとっても他人事ではありません。戦争映画にありがちな「敵国=悪役」という設定は無く、かといって俯瞰で見るのではなく主観的なリアルを映し出していました。

主人公デズモンドは敬虔なキリスト教信者であり、その教えを守るために信念を貫き通します。しかし宗教の垣根を超えて考えるべき「命の尊さ・人間の在り方・戦争の悲惨さ」を直球で胸に突き刺してくるのです。

 

序盤にはデズモンドの生い立ちが描かれています。心が温かくなるほっこりとしたシーンもあり、こうやって彼の信仰心が育まれていったんだなぁ、というのが伝わってきました。登場人物の背景をしっかり描く、というのは最近ないがしろにされがちですが、やっぱり大切ですね。

中盤の訓練兵の話は痛々しい部分もありますが、周囲の人々が感化されていく様はこちらの気分まで高揚させます。ここまで強い意志を持って生きていく事など、果たして私たちにもできるでしょうか。そもそも絶対に曲げられない信念を持つこと自体が難しいような気もしますね。

気になった点

良くも悪くもメルギブソン監督。

戦闘シーンは本当に1ミリの躊躇いも見せないほどに凄惨でリアルです。飛び散る血や肉片を遠慮なく映し出し、たくさんの人々が残酷な死を迎えます。グロテスクな映像が見れない人は目を背けたほうがいいでしょうね。

対日本というのも、人によって複雑かもしれません。自害や騙し討ちのような、日本人にとって後ろめたいというか、あまり振り返りたくない過去も描かれていますので。ただ、事実なんですよね。受け入れないと先には進めない、と私は思います。

最後にインタビューがあります。個人的に不要な部分でした。こういうのはテレビの特番やスペシャルドラマ、DVD特典などで見せてほしいです。映画の一部にされると、あざとさを感じてしまう……私がひねくれてるだけかもしれませんが。(笑)

評価

総合満足度:☆☆☆☆☆☆☆☆☆  (9/10)
わくわく度:☆☆  (2/5)
キュンキュン度:☆☆  (2/5)
かなしみ度:☆☆☆☆  (4/5)
カンゲキ度:☆☆☆☆☆  (5/5)
びくびく度:☆☆☆☆  (4/5)
スッキリ度:☆☆☆  (3/5)

(※今回から総合満足度を5→10点満点にしました。)

これはもう本当にできるだけ多くの人に観てほしいですね。私はキリスト教信者じゃないですが、そんなもの関係ありません。人としての根本的な問題です。戦争の悲惨さを知り、「救うという戦い方」があることを胸に刻むべきだと思います。

前半の平穏と後半の混沌といった対比。主人公の背景と信念の強さ。直視すべき現実の残酷さ。日本では徐々に風化してきてしまっている戦争について、今こそ考え直すべきでしょう。