映画『武曲 MUKOKU』感想・評価

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監督:熊切和嘉
出演:綾野剛/村上虹郎/前田敦子/風吹ジュン/小林薫/柄本明

 

あらすじ

矢田部研吾は、幼い頃から剣道の達人だった父に鍛えられ、周囲から一目置かれていた。しかしある事件により研吾は生きる気力を失い、自堕落な日々を送っている。研吾のもう一人の師匠である光邑が彼を立ち直らせるため、ラップのリリック作りに夢中な少年、羽田融を引き合わせる。融は、本人も知らない恐るべき剣の才能を持っておりーー。

感想(ネタバレ含む)

息を呑むクライマックスの決闘シーン。堕落から再生する狂気の男と、剣に魅せられた若者がぶつかり合う気迫の演技に圧倒される!!

良かった点

心に闇をかかえて堕落しまくった男を演じる綾野剛さん。彼は真っ直ぐなキャラより、こういう裏に何かを秘めた役のほうがしっくり来ますね。ドン引きするほど鍛え上げられた肉体美だけでも見ものですが、狂気に満ちて暴れる姿やそこから苦悩を乗り越えて別人のように生まれ変わる演技力の高さは、圧巻の一言。どんだけストイックなんだ……と恐怖さえ覚えます。

その研吾に対する融を演じる、村上虹郎さん。『ディストラクションベイビーズ』という、ただひたすら精神的に疲れる映画でお見かけし、「これからが楽しみな役者さんだな」と思ったまますっかり忘れていました。彼もまた、とてもエネルギッシュな迫真の演技を見せてくれます。研吾とはまた違った過去のトラウマを持つ融としての苦しみを充分に表現していました。若手とは思えない存在感です。まだ完成してない感じはありますが、そこがまた、この先どういう役者になるのか期待が膨らみます。

 一番の見所は、予告にもある雨の中で闘うシーン。鬼気迫るぶつかり合いは、迫力が凄すぎて本当に息をするのも忘れます。

気になった点

演技の質や、剣を交えるシーンについては文句のつけようもないのですが、いかんせんストーリーには首をひねりました。深みが無いというか、設定の細部に甘さを感じますね。物語の展開が一辺倒で、後半へ進むにつれて、結末への期待感が薄れていきます。ご都合主義が散見すると、感情移入を邪魔されますね。

映像や芝居の迫力はぜひ映画館で、と思えるのに、ストーリーは映画館で観るほどではないな、というモヤッとした感情になりました。

それと、これはすごく個人的な意見なのかもしれませんが、前田敦子さんが不要だったように思えてなりません。いやべつに彼女を悪く言うつもりはないです。役としての立ち位置や、演技の属性が浮いていて、出演作品まちがえたかなぁと。

演技の「属性」というのは私的に今どうにか捻り出した言葉です。うまく説明できませんが、作品の雰囲気や役の雰囲気、キャスティングされた俳優陣の雰囲気、そこに調和するかしないかってあると思うんですよね。中にはカメレオン俳優とか言われて、どんな属性もこなせてしまう人もいますが、どっちが優秀とかじゃないです。特化型も、オールマイティ型も、名脇役のような空気型も、みんな凄いです。

ごめんなさい、話が逸れました。(笑)

 評価

総合満足度:☆☆☆  (3/5)
わくわく度:☆☆☆  (3/5)
キュンキュン度:☆☆  (2/5)
かなしみ度:☆☆☆☆  (4/5)
カンゲキ度:☆☆  (2/5)
びくびく度:☆☆  (2/5)
スッキリ度:☆☆☆  (3/5)

評価がすごく難しかったです。興奮したシーンと退屈なシーンとの差が激しくて、自分のなかでも好き嫌いが決めづらい作品でした。もともと自由気ままな評価ですが、いつも以上に参考にならないと思います。とりあえず綾野剛さんのファンは観に行ってがっかりする事はないでしょうね。劇場でヨダレがでないように気をつけてください。